東京地方裁判所 昭和41年(ワ)967号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕原告は準備手続期日の延期または続行の申立は民印法第六条の二第一号の期日指定の申立にあたらないと主張するが、当裁判所は以下の理由によつて同号の期日の申立にあたると解釈する。
民印法第六条の二は明治四三年法律第一五号によつて追加規定され、当時の条文は期日の変更、弁論の延期又は弁論期日の指定の申立となつていた。この点に関する当時の民事訴訟法の規定を見ると同法は明治二三年法律第二九号(以下旧民訴法と略す)であつてその第一五九条に期日は裁判長日及び時を以て之を定むとあり、同法第一六九条に期日の変更、弁論の延期、弁論続行の期日の指定は申立に因り又は職権を以つてこれを為すことを得(但書は省略す)。とあつた。すなわち、弁論の延期または続行の期日の指定の申立に所定の印紙を貼用することを命じていたことは明らかである。旧民訴法が廃止され、現行民事訴訟法(以下単に民訴法という。)が施行され、旧民訴法第一五九条および第一六九条は民訴法第一五二条第一項ないし第三項の規定に改められ、期日の変更、弁論の延期、弁論続行の期日の指定が単に期日の指定となり、これに対応して民印法第六条の二第一号も単に期日指定の申立と改められた、
右の沿革を参酌して前記第一五二条第三項および第六条の二第一号の法意を考えると、期日の指定には期日の変更、弁論延期または弁論続行の期日の指定が含まれていると解するのが相当である。何となれば期日の指定とは期日の変更、弁論の延期または続行のための期日の指定が原則であるので、現行の右二法条が旧法当時の規定する右の如き場合を特に排除して、民訴法第二三八条の如く権利として期日指定の申立できる場合に限定したものと解する理由が見出されないからである。期日の指定は裁判所の職権に属し期日指定の申立は民訴法第二三八条の如き特別の場合を除き単に裁判所の職権の発動を促すものと解されている、しかし、民印法による印紙の貼用は手数料の徴収であり、手数料は権利として要求せられる行為にのみ徴収されるものではないから(例えば滞納税金の督促手数料)、期日指定の申立が職権発動を促すものであるとの理論で直ちに印紙貼用義務を否定できない。現行民訴法を見ると第一五二条第三項は職権に因る外申立に因ることを規定し、訴提記後第一回の口頭弁論期日の指定については右条文にまかせず特に第二三〇条を置いて職権による期日指定のみを定めている。弁論の延期または続行のため当事者の申立で期日が指定された場合新たに期日が定められ訴訟行為がなされるのであるから、訴状に貼用された印紙額の外更に費用を要するものとして、右期日の指定に印紙の貼用を命ずることは手数料の目的から見て首肯されることである。以上のことと前記法改正の沿革を併せ考えると民訴法第一五二条第三項および民印法第六条の二第一号の期日指定には弁論の延期または続行の期日が含まれると解するのが相当である。なお、原告はその主張の根拠として右一五二条は第一、二項において期日は定むとし第三項において期日の指定とし言葉を違えて使用していることを挙げているが、期日指定の具体的規定として裁判長受命裁判官または受託裁判官が期日を定めるとしたものと解するのが民訴法の趣旨に合うものであつて、原告の主張する見解を支持することはできない。
いわゆる弁論の延期または続行の申立は結局右のための期日の指定の申立に帰するものであり、前記法条の期日指定の申立もその意味に解すべきことは前述のところから明らかである。
以上述べてきたところはすべて準備手続の期日に関しあてはまる(民事訴訟規則第一九条参照)。従つて準備手続の延期または続行の申立、従つてその期日の指定の申立は民印法第六条の二第一号の期日指定の申立にあたり三〇円の印紙を貼用する義務がある。(上野宏)